岐阜県土岐市の雅山窯で中島正雄が手がけたこの大鉢は、桃山時代から続く志野焼の伝統を現代に継承する絵志野の逸品です。柔らかな白い志野釉の表面に、鉄絵で描かれた草花文様が自由闊達な筆致で踊り、素朴でありながら洗練された美意識を湛えています。
縁を彩る連続した点文様は、リズミカルな装飾性を添え、器全体に軽やかな動きを与えています。ゆったりとした広がりを持つ大鉢の形状は、料理を盛る実用の美と、眺めて愉しむ鑑賞の美を兼ね備え、付属する箱が、この作品が大切に扱われてきた骨董品であることを物語ります。

詳細
志野焼は美濃焼の一種で、室町時代末期から桃山時代にかけて岐阜県の美濃地方で生まれた、日本を代表する陶器です。その特徴は、もぐさ色と呼ばれる温かみのある白い釉薬と、鉄絵による素朴な文様にあります。絵志野とは、白い志野釉の下に鉄絵で文様を描いた技法で、焼成によって鉄分が発色し、茶褐色から赤褐色の柔らかな線となって現れます。
雅山窯は土岐市を拠点とする窯元で、中島正雄はその伝統を受け継ぐ陶芸家として知られています。この大鉢に描かれた草花は、写実的でありながらも筆の勢いを大切にした自由な表現で、桃山時代の志野焼が持つ「用の美」の精神を体現しています。

おすすめの用途
大鉢としての本来の用途は、煮物や刺身、サラダなどを盛り付ける食器です。直径の大きさを活かし、季節の料理を美しく演出する器として、おもてなしの席で活躍します。志野の柔らかな白は、和食にも洋食にも調和し、盛り付けた料理を一層引き立てます。
また、果物を盛るフルーツボウルとしても優雅で、日常使いから特別な日まで幅広く対応します。

インテリアコーディネート提案
【和モダンスタイル】
ダイニングテーブルの中央に配置し、シンプルな料理を盛り付けることで、志野の白と鉄絵の美しさが際立ちます。無垢材のテーブルやリネンのランチョンマットとの組み合わせが、現代的な和の食卓を演出します。
【伝統的和風スタイル】
床の間の飾り棚に据え、季節の枝物や果物を盛ることで、茶室や数寄屋建築における設えの一部として格調高い空間を創出します。間接照明で白釉の柔らかな質感を照らせば、静謐な美しさが浮かび上がります。

品質・状態について
リユース品のため、新品と比較して使用感がございます。
リペア痕や経年変化による色ムラがある場合があります。
使用に伴う小傷や擦れ跡がある場合がありますが、使用に支障はありません。
写真と実物の色調に若干の差異がある場合があります。