時を経た木彫りに宿る静謐な表情が、見る者の心を穏やかに包み込んでくれます。柔和な目元、微笑みを湛えた唇、整った鼻筋が織りなす造形は、仏教美術における慈悲の象徴を体現しています。表面には古色が深く刻まれ、かつて施されたであろう赤い彩色が所々に残り、信仰の歴史を物語っています。裏側には赤い紐が取り付けられており、かつて壁面や厨子に掛けられていた痕跡が伺えます。左耳に小さな欠けが見られますが、これもまた長い歳月を経た証として、作品全体の風格を損なうものではありません。
詳細
観音菩薩は「観世音菩薩」とも呼ばれ、人々の苦しみの声を聞き、救いの手を差し伸べる慈悲深い存在として、古くから日本の仏教信仰の中心的な役割を果たしてきました。本作は木彫りによる仏面で、髪を高く結い上げた宝髻の表現や、額の白毫を思わせる装飾、耳飾りの細やかな彫刻など、伝統的な様式を忠実に守りながら制作されています。赤い彩色は朱や辰砂といった顔料が用いられたと推察され、現代にまでその面影を留めています。
おすすめの用途
床の間や玄関の正面など、格式ある空間の中心に飾ることで、精神的な拠り所としての役割を果たします。仏間や祈りの場に安置すれば、毎日の暮らしの中に静寂と祈りの時間をもたらしてくれるでしょう。また書斎や寝室に置けば、その慈愛に満ちた表情が心の安らぎを与え、日々の疲れを癒してくれます。木彫りならではの温もりと、長い時を経た深い色合いが、空間全体に落ち着きと品格をもたらします。
インテリアコーディネート提案
【和モダン】
漆喰の白壁を背景に、黒檀の飾り棚や行灯風の照明と組み合わせることで、現代的な和の美意識を表現できます。足元に白砂を敷いた小さな坪庭風の演出を加えれば、禅寺のような静謐な空間が完成します。
【アジアンリゾート】
ダークウッドの家具やラタン素材のアイテムと調和させ、間接照明で柔らかく照らすことで、リゾートホテルのような癒しの空間を演出できます。香炉やキャンドルを添えれば瞑想空間としても機能します。
品質・状態について
リユース品のため、新品と比較して使用感がございます。
リペア痕や経年変化による色ムラがある場合があります。
使用に伴う小傷や擦れ跡がある場合がありますが、使用に支障はありません。
写真と実物の色調に若干の差異がある場合があります。