黒と金が織りなす宇宙のような神秘的な輝きを放つ、唐銅製の一輪挿しです。円筒形の端正なフォルムの中ほどに、ゴツゴツとした質感を持つ力強い耳が二つ配され、静謐さと力強さが共存する独特の存在感を放っています。表面全体に散りばめられた金色の斑点は、まるで夜空に瞬く星々のように煌めき、深い黒の地色との対比が幻想的な美しさを生み出しています。「今宵の主」という銘は、平家物語に登場する薩摩守忠度の和歌「行き暮れて木の下陰を宿とせば 花や今宵の主ならまし」に由来し、旅の宿で花が主人となって客人をもてなすという風雅な情景を表現しています。箱付きの品であり、茶道具としての格式を備えています。
詳細
唐銅とは、銅・錫・鉛などを主成分とする青銅合金のことで、日本では茶道具の花入として古くから珍重されてきました。茶道の世界では「真」の格として最上位に位置づけられる素材であり、その独特の金肌の味わいと重厚な質感が、茶席に格式高い雰囲気をもたらします。この花入は、黒い地肌に金色の粒子が無数に散らばる独特の表情を持ち、これは唐銅特有の経年変化と鋳造時の化学反応によって生まれた自然の造形です。中央に配された二つの耳は把手としての機能だけでなく、造形的なアクセントとして全体のバランスを整えています。細長い円筒形は、一輪の花を凛と活けるのに最適な形状です。
おすすめの用途
床の間や玄関の飾り棚に置いて、四季折々の一輪の花を活ける花入としてお使いいただけます。唐銅の重厚な質感が花の美しさを引き立て、空間に静謐な趣を添えます。茶道のお稽古や茶会での使用はもちろん、和室や洋室を問わず、モダンな空間にも調和する普遍的な美しさを持っています。黒と金という色彩が、どのような色合いの花とも相性が良く、季節を通じて様々な表情をお楽しみいただけます。また、花を活けない時でも、それ自体が芸術品として空間を彩ります。
インテリアコーディネート提案
【和モダンスタイル】
白壁の床の間や和室に飾り、漆塗りの棚や竹細工と組み合わせることで、現代的な和の美意識を表現できます。黒と金の色彩が空間に落ち着いた気品をもたらし、一輪の白椿や季節の野花が凛とした佇まいを見せます。
【モダンスタイル】
コンクリート打ちっぱなしの壁やガラスの棚に飾ることで、工芸品としてのアート性が際立ちます。黒と金の質感が現代的な空間に温かみを添え、建築的なシンプルさとのコントラストが美しい調和を生み出します。
品質・状態について
リユース品のため、新品と比較して使用感がございます。
リペア痕や経年変化による色ムラがある場合があります。
使用に伴う小傷や擦れ跡がある場合がありますが、使用に支障はありません。
写真と実物の色調に若干の差異がある場合があります。