幕末から明治にかけて活躍した二代尾関作十郎による、犬山焼の名品です。雲錦手とは桜と紅葉を一つの画面に描く意匠で、春と秋の美を同時に表現する日本独特の美意識が込められています。
鉢の内外には、赤く染まった紅葉と緑の青楓が交互に配され、桜の枝が繊細に描かれています。点々と施された色とりどりの点描が、散りゆく花びらや舞い落ちる葉を思わせ、季節の移ろいを詩的に表現しています。乳白色の釉薬がかかった地肌は、時を経て味わい深い貫入と風合いを見せ、骨董品ならではの歴史の重みを感じさせます。
底部には青い銘が残り、作者と窯元を証明しています。高台の作りや絵付けの筆致から、江戸末期から明治期の手仕事の確かさが伝わります。尾関作十郎陶房は犬山焼を代表する窯元であり、この作品は日本陶磁史における貴重な資料的価値を持つ一品です。
おすすめの使用方法・用途
茶席での菓子鉢として使用すれば、和菓子を格調高く演出できます。四季を問わず使える雲錦手の意匠は、茶道具として重宝される理由でもあります。
日常使いでは、果物やお菓子を盛る器として食卓を彩ります。骨董品としての価値を考慮し、飾り棚や床の間にディスプレイして鑑賞するのもおすすめです。茶室や和室はもちろん、モダンな空間にもアクセントとして映える存在感があります。歴史ある器を手に取り、江戸から明治へと続く時代の空気を感じながら使う喜びは、骨董品ならではの醍醐味です。コレクターズアイテムとしても価値が高く、日本陶磁を愛する方への贈り物としても最適です。
インテリアコーディネート提案
茶室・和モダン空間では、床の間や違い棚に配して、掛け軸や季節の花と組み合わせることで、格式高い日本美を体現できます。漆器の茶托や竹製の茶杓、古裂の敷物とともに飾れば、歴史が息づく本格的な茶の湯の世界を演出できるでしょう。間接照明で柔らかく照らせば、雲錦手の繊細な絵付けが浮かび上がります。
ミニマルモダンスタイルのリビングなら、ガラスキャビネットや白い飾り棚にシンプルに配置することで、骨董品の美しさが際立ちます。モノトーンを基調とした空間に、この鉢の赤と緑の色彩がアクセントとなり、洗練された中に温もりをもたらします。北欧家具やコンクリート壁との対比も魅力的で、伝統と現代が調和する個性的な空間が生まれます。
品質・状態について
リユース品のため、新品と比較して使用感がございます。
リペア痕や経年変化による色ムラがある場合があります。
使用に伴う小傷や擦れ跡がある場合がありますが、使用に支障はありません。
写真と実物の色調に若干の差異がある場合があります。